【ケアマネ・包括支援センター様向け】老老介護のケースで見守るべき視点と地域の支援体制・相談窓口

ケアマネジャーや包括支援センターの業務において、『高齢の親が、さらに高齢の親を介護している』という老老介護のケースに直面することが増えていないでしょうか?

このようなケースでは、通常の介護支援とは異なり、『見守りと予防的な関わり』がとくに重要となります。本記事では、ケアマネジャーや包括支援センターの方々が 知っておくべき老老介護の特性と、地域における支援体制について詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 大田区における老老介護の具体的なリスクと現状
  • 「共倒れ」を防ぐために今すぐ始めるべき早期対策
  • 大田区独自の「見守りサービス」や「地域包括支援センター」の活用法
  • 実際に老老介護の危機を乗り越えた区民の具体的な事例
  • よくある疑問を解消するQ&Aコーナー
目次

1. 大田区における老老介護の現状と定義

1-1. 老老介護とは?深刻化の背景

「老老介護」とは、65歳以上の高齢者が、同じく65歳以上の高齢者を介護している状態を指します。
平均寿命が延びたこと自体は喜ばしいことですが、同時に「介護をする側」も高齢化しているのが現代日本の現実です。

以前は大家族で介護を分担できましたが、核家族化が進んだ今、夫婦二人暮らしや、未婚の高齢の子どもと同居する世帯が増え、家庭内だけで介護を完結させようとするケースが多くなっています。

1-2. 大田区の高齢化率と地域特性から見る老老介護のリスク

大田区は、昔ながらの商店街や工場が多く、地域のつながりが強い一方で、高齢化も着実に進んでいます。
特に、階段の多い戸建て住宅や、エレベーターのない古い団地に住んでいる高齢者夫婦の場合、外出が困難になりやすく、「密室での老老介護」に陥りやすい傾向があります。

地域の人と顔を合わせる機会が減ると、困っていてもSOSが出せず、事態が深刻化するまで発見されないというリスクが高まります。

1-3. 老老介護が招く「共倒れ」の現実と社会的な影響

老老介護において最も懸念されるのは、「共倒れ」です。
介護者が無理をして腰を痛めたり、介護ストレスにより心身の不調をきたした場合、今まで通りの介護ができなくなります。その結果、被介護者の状態も悪化し、共に入院や施設入所を余儀なくされるケースも少なくありません。

2. 老老介護が引き起こす具体的な問題点

では、具体的にどのような問題が起きるのでしょうか。私の元に寄せられる相談内容から、主な4つの問題点をご紹介します。

2-1. 介護者の心身の限界(身体疾患や介護うつの発症)

高齢の介護者にとって、入浴介助や排泄介助、夜間の見守りなどの肉体的負担は想像以上です。
慢性的な睡眠不足や疲労は、高血圧などの持病を悪化させたり、「もう消えてしまいたい」といった介護うつを引き起こす原因になります。

2-2. 経済的な負担と、介護サービス利用の躊躇

年金生活の中で、介護費用を捻出することに不安を感じる方は多いです。
「お金がかかるから」と、デイサービスやヘルパーの利用を控え、自分たちだけで頑張ろうとしてしまうことが、結果的に心身の限界を早めてしまいます。

2-3. 介護者・被介護者双方の孤立(社会との接点の喪失)

介護に追われると、趣味の集まりや町内会の活動に参加する余裕がなくなります。
社会との接点が断たれると、気分転換ができず、家庭内での会話も介護のことばかりになり、精神的に追い詰められていきます。

2-4. 適切な判断が難しくなるリスク(介護スキルの不足)

高齢の介護者自身も、認知機能が低下している場合があります。
薬の管理ができなくなったり、適切な食事を用意できなくなったりしても、「まだ大丈夫」と思い込み、専門家の介入が遅れるケースがあります。

3. 老老介護の限界を回避するための早期対策

限界を迎える前に、早期に対応することが重要です。以下の3つの対策を検討してみてください。

3-1. 介護保険サービスを最大限に活用するための見直し

現在利用しているサービスは、今の状況に合っていますか?
例えば、「週1回のデイサービス」を「週3回」に増やす、「訪問ヘルパー」をお願いして掃除や買い物などの生活援助を依頼することなどが考えられます。ケアプラン(介護計画)は利用者および介護者の状況に応じて柔軟に見直すことができます。

3-2. 介護者を交代する「レスパイトケア(短期入所)」の積極的な利用

「レスパイト」とは「休息」という意味です。
介護者が数日間、完全に介護から離れてリフレッシュすることを目的として、親御さんや配偶者にショートステイ(短期入所)を利用してもらう方法です。介護者自身が休息を取ることに対し、「自分が休むためなんて申し訳ない」と感じる方も少なくありません。しかし、レスパイトケアは介護者の負担軽減を図り、共倒れを防ぐための重要な介護支援の一つであり、適切な介護戦略として積極的に位置づけることが重要です。

3-3. 地域のインフォーマルな支援(ボランティア、隣近所)の導入方法

公的な介護保険サービスだけでなく、地域に存在するインフォーマルな支援資源の活用も検討することが重要です。
大田区には、ゴミ出しを支援するボランティアや、話し相手になってくれる傾聴ボランティアなどが活動している地域もあります。こうした地域資源を把握し、状況に応じてつなぐことが、介護者の負担軽減や孤立防止につながります。

3-4. 支援拒否のある高齢者を説得するためのコミュニケーション術

「他人の世話にはなりたくない」とサービスを拒否されることもあります。
そんな時は、「私が心配だから」と家族の気持ち(Iメッセージ)で伝えたり、「リハビリの先生に見てもらおう」と医療的な側面を強調したりするのが有効です。

4. 【大田区のケアマネジャー様へ】頼れる具体的な支援制度と窓口

大田区には、高齢者を支えるための独自の仕組みがあります。これらを知っているだけで、安心感は大きく変わります。

4-1. まず相談すべき窓口:地域包括支援センター

大田区には20箇所以上の「地域包括支援センター」があります。
ここは、介護・医療・福祉の専門家が常駐する「高齢者のよろず相談所」です。「どこに相談していいか分からない」という悩みも、まずはここで受け止めてくれます。

※お住まいの住所によって担当のセンターが決まっています。大田区のホームページや区報で確認し、電話番号を控えておきましょう。

4-2. 大田区独自の高齢者見守りサービスと緊急通報システム

大田区では、一人暮らしや高齢者世帯向けに以下のようなサービスを提供しています。

  • 緊急通報システム:急病時にボタン一つで受信センターに通報できる機器を貸与します。
  • 高齢者見守りキーホルダー:外出先で倒れた際などに、登録番号から迅速に身元確認と緊急連絡先への連絡を行います。
  • 配食サービス:お弁当を届ける際に安否確認も行います。

4-3. 介護者の心身のリフレッシュをサポートする区の交流事業

大田区社会福祉協議会などが主催する「家族介護者教室」や「介護者交流会」では、介護者同士の情報交換や悩みの共有ができる場です。

介護者が孤立し負担が増大しているケースでは、こうした交流事業への参加を案内することが有効です。「悩んでいるのは自分だけではない」と感じられるだけでも、心理的負担の軽減につながります。

4-4. 介護離職を防ぐための就労相談と経済的支援制度

もし、高齢の親子で介護をしていて、お子さんが働いている場合は、介護離職防止のための相談も重要です。
ハローワークや区の相談窓口では、仕事と介護の両立に関するアドバイスを行っています。

4-5. 認知症に関する相談窓口と早期診断の重要性

「もの忘れ相談医」など、大田区は認知症の早期発見・対応にも力を入れています。
地域包括支援センターを通じて専門医を紹介してもらうことも可能です。

5. 老老介護を乗り越えた大田区在住の家族の事例

実際に、地域の支援を活用して生活を立て直した事例をご紹介します。

5-1. 定期的なデイサービス導入で生活リズムを取り戻した事例

【70代妻・80代夫(認知症)のケース】
夫の昼夜逆転生活に悩んでいた妻。地域包括支援センターの勧めで、夫が週4回のデイサービスに通い始めました。日中活動することで夫の夜間の睡眠が安定し、妻も自分の睡眠時間を確保できるようになりました。

5-2. 地域包括支援センターの介入により、必要なサービスに繋がった事例

【80代母・60代息子のケース】
「他人を家に入れたくない」とサービスを拒否していた母。息子が困り果てて相談したところ、包括の職員が何度も訪問して信頼関係を構築。「お風呂だけ入りに行きませんか?」という提案からデイサービス利用につながり、息子の負担が激減しました。

5-3. 介護者自身がリフレッシュする時間を持てるようになった工夫

ショートステイを定期的に利用し、その間、介護者は趣味のサークル活動に参加したり、友人とランチに行ったりしてリフレッシュ。「優しく接するためには、離れる時間が必要だった」と話しています。

よくある質問

Q. 介護保険の申請方法が分かりません。どこで手続きできますか?

A. 大田区役所の介護保険課、またはお近くの地域包括支援センター(特別出張所内にあることも多いです)で申請できます。申請書は郵送でも提出可能です。まずは地域包括支援センターに電話で相談することをお勧めします。

Q. 介護疲れで限界を感じています。緊急で相談できる場所はありますか?

A. 平日日中であれば地域包括支援センターへ。夜間や休日で生命の危険がある場合は迷わず救急車を、精神的に辛い場合は「高齢者虐待防止センター」などの緊急窓口や、区の夜間休日相談窓口(利用可能な場合)に連絡してください。

Q. サービス利用に抵抗のある親を、どのように説得すれば良いでしょうか?

A. 無理に説得せず、まずは第三者(ケアマネジャーやかかりつけ医)から勧めてもらうのが効果的です。「家族のためにも、プロに見てもらった方が安心」といった伝え方も試してみてください。

まとめ:老老介護の悩みは一人で抱え込まず、大田区の専門家と連携を

老老介護は、愛情だけで乗り切れるものではありません。
限界を迎えて共倒れになる前に、利用者や介護者に対して、早めに支援を呼びかけることが重要です。

ケアマネジャーとしては、大田区には介護者・高齢者を支えるさまざまな制度や専門家がいることを理解し、必要に応じて以下の対応を行うことが求められます。

・介護者に「助けを求めてもよい」という安心感を伝える

・地域包括支援センターや関係機関への相談につなぐ

・利用可能なサービスや地域資源を紹介し、早期支援を開始する

まずは、電話一本で地域包括支援センターに相談することから始めるだけでも、介護者本人と家族の心身の健康を守る大きな一歩になります。

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この記事の監修者

監修者:小林 隆人のアバター 監修者:小林 隆人 相続診断士・家族信託コーディネーター

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【監修者】小林 隆人

相続診断士 / 家族信託コーディネーター
宅地建物取引士

不動産業界17年の経験を持ち、高齢者の終活・相続・不動産活用を専門とする。認知症対策から身元保証まで、幅広い視点でご相談者様をサポート。

所属:相続診断協会 / 家族信託普及協会
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