親の施設入居の契約書に「身元引受人」「連帯保証人」の欄が並び、「成年後見制度の利用も検討を」と言われて戸惑っていませんか。
「成年後見人を立てれば身元保証人はいらない」と考えがちですが、成年後見人がいても身元保証人の欄が不要になるとは限りません。
両者の違いは、費用を保証する責任の有無にあります。
成年後見人は本人の財産で支払いをおこなっても、保証人として負担する立場にはないためです。
この記事では、厚生労働省のガイドラインをもとに役割を比べ、家族が連帯保証人になるときの責任と、契約前に施設へ確認することを整理しました。
退院や入居の期限が迫り、どの欄を誰が書くか早く決めたい方は、ぜひ参考にしてください。
成年後見人と身元保証人の違いは「本人の代理人」か「費用の保証人」か


成年後見人と身元保証人の違いを一言でいえば、成年後見人は家庭裁判所に選ばれ、本人の財産に関する手続きなどを行う代理人です。
一方、身元保証人は病院や施設と契約して、費用の支払いを保証する人です。
この違いを押さえると、書類のどの欄を誰が書くべきかが見えてきます。
比較表と、つまずきやすい2つの点を順に整理します。
- 成年後見人と身元保証人の違いを7項目で比較
- 成年後見人は本人の財産で支払い、身元保証人は自分の財産で保証する
- 身元引受人・連帯保証人・緊急連絡先は同じ?書類の言葉の整理
まずは一覧表で全体像をつかみましょう。
成年後見人と身元保証人の違いを7項目で比較
主な違いを7つの項目で比べると、次のとおりです(現行制度・2026年10月時点)。
| 項目 | 成年後見人 | 身元保証人 |
|---|---|---|
| 根拠 | 民法・家庭裁判所の審判 | 病院・施設との契約 |
| 選ばれ方 | 家庭裁判所が選ぶ | 本人や家族が頼む |
| 主な役割 | 財産管理と契約の代理 | 費用の保証、緊急時の連絡、引き取り |
| お金の責任 | 本人の財産から払う | 本人が払わない費用を自分で払う(連帯保証の場合) |
| 監督 | 家庭裁判所が監督する | 家庭裁判所による後見監督の対象ではない |
| 終わり | 原則として本人の死亡で終わる | 契約の内容による |
| 費用 | 報酬は家庭裁判所が決める | 事業者に頼む場合は契約で決まる |
成年後見人と身元保証人の違いは、本人の財産に関する手続きを行う代理人か、本人の費用を保証する立場かにあります。
前者は家庭裁判所の監督を受ける公的な役割、後者は契約で決まる私的な役割です。
成年後見人は本人の財産で支払い、身元保証人は自分の財産で保証する
成年後見人と身元保証人では、支払うお金の出どころが違います。
成年後見人は本人の財産から入院費や施設利用料を支払いますが、保証人として費用を負担する立場ではないとガイドラインに明記されています。
一方、連帯保証人を兼ねる身元保証人は、本人が払わない費用を自分の財産で払う立場です。
成年後見人を立てても保証の役割は残ったままになるため、病院や施設は別に保証人を求めることがあります。
【参考】厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」p.17
身元引受人・連帯保証人・緊急連絡先は同じ?書類の言葉の整理
書類に並ぶ言葉は、似ていても求める役割が違います。
- 身元引受人:退院・退所や死亡時に、本人や遺品を引き取る人
- 連帯保証人:本人が払わない費用を、代わりに支払う人
- 緊急連絡先:急変や事故の連絡を最初に受ける人
- 契約者・代理人:本人に代わって契約を結ぶ人。判断能力が不十分なら成年後見人の役割
身元保証人は、これらをまとめて頼む相手の呼び名として使われることが多い言葉です。
国の統一的な定義はないため、欄の名前だけで判断せず、中身を施設に確かめましょう。
成年後見人がいれば身元保証人は不要?病院・施設が求める6つの役割で確認


それぞれの役割を比べると、成年後見人は契約や支払いなど、法律上の手続きを中心に担います。
一方、身元保証人は緊急時の連絡や費用の保証などを担います。
成年後見人がいても、緊急時の連絡や付き添い、費用の保証には別の担い手が必要になる場合があります。
そのため、成年後見人がいても、保証人の欄がすぐ不要になるとは限りません。
以下では、厚生労働省のガイドラインに沿って、役割を詳しく見ていきます。
- 成年後見人が業務として担える役割(契約・支払い・退院時の手続き)
- 成年後見人が業務として担わない役割(付き添い・物品の準備・居室の明け渡し)
- 緊急連絡先は成年後見人に頼める?親族との分担の考え方
- 成年後見人がいても病院・施設が身元保証人を求める理由
病院や施設の書類と見比べながら確認してください。
成年後見人が業務として担える役割(契約・支払い・退院時の手続き)
病院が保証人に求める6つの役割と、それぞれに対する成年後見人の関わり方は次のとおりです。
| 病院が求める役割 | 成年後見人の関わり方 |
|---|---|
| ①緊急の連絡先 | 引き受けるかは成年後見人に確認 |
| ②入院計画書 | 契約の代理人として内容を確認 |
| ③入院中の物品の準備 | 業務外。有償サービスの手配は業務 |
| ④入院費など | 本人の財産から支払う |
| ⑤退院支援 | 退院後の契約は業務。付き添いは業務外 |
| ⑥死亡時の引き取り・葬儀など | 後見類型のみ一部の死後事務が可能。葬儀は含まない |
成年後見人が業務として担うのは、②④⑤です。
具体的には、本人に代わる契約や、本人の財産からの支払いといった法律上の手続きを行います。
施設入居の契約も同じ考え方で、成年後見人が本人に代わって結びます。
【参考】厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」p.6・p.16~17
成年後見人が業務として担わない役割(付き添い・物品の準備・居室の明け渡し)
物品の準備や転院・退院の付き添い、居室の明け渡しは、成年後見人の業務ではありません。
契約などの法律行為ではない「事実行為」にあたるためです。
ただし、こうした作業を担う有償サービスの手配は業務に含まれ、自ら対応する成年後見人もいます。
どこまで頼めるかは、早めに成年後見人と相談しておきましょう。
緊急連絡先は成年後見人に頼める?親族との分担の考え方
緊急連絡先を成年後見人が引き受けるかは、一律には決まっていません。
ガイドラインでは、病院が成年後見人に意向を確認したうえで、親族がいれば、誰が緊急連絡先を担うかを話し合う流れが示されています。
家族が遠方なら、夜間や休日の連絡を誰が受けるかまで決めておくと安心です。
【参考】厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」p.16
成年後見人がいても病院・施設が身元保証人を求める理由
病院や施設が保証人に期待する役割は、成年後見人の業務より広くなっています。
平成29年度の厚生労働省研究班の調査では、入院時に身元保証人などを求める医療機関は65.0%でした。
求める役割の上位は、入院費の支払い87.8%、緊急の連絡先84.9%、債務の保証81.0%です。
医療従事者の40.9%が、医療行為の同意を成年後見人の職務と考えていたという結果もあります。
施設には「成年後見人が選ばれたら保証人の欄をどう扱うか」を直接確かめましょう。
【参考】法務省 法制審議会民法(成年後見等関係)部会 第23回 資料「意思決定が困難な人の医療の課題」(2025年7月22日)、PDFの4~5ページ目(調査結果)
【参考】厚生労働科学研究成果データベース「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」(平成30年度報告書。「研究目的」に平成29年度の調査実施を記載)
医療同意と亡くなった後の対応は、成年後見人と身元保証人のどちらが担う?


成年後見人と身元保証人の違いにかかわらず、医療同意の権限はどちらにもないと考えられています。
死後の手続きも、成年後見人だけでは完結しません。
そのため、本人の意向と、亡くなったあとの手続きを担う人を「本人が元気なうち」または「判断を迫られる前」に決めておくことが大切です。
命と最期に関わる3つの場面を確認します。
- 手術や治療の同意は、成年後見人にも身元保証人にも権限がない
- 延命治療の判断に備えて、本人の意向を書面に残す
- 亡くなった後に成年後見人ができることと、残る役割の頼み先
家族で話し合う際のたたき台としてお使いください。
手術や治療の同意は、成年後見人にも身元保証人にも権限がない
手術や治療に同意できるのは、原則として本人だけです。
ガイドラインは、身元保証人などの第三者に医療同意の権限はなく、成年後見人の役割にも含まれないとしています。
医療機関には、成年後見人に同意書へのサインを強要しないよう求めています。
「医療同意ができる」とうたう事業者がいるという研究班の報告もあり、注意が必要です。
【参考】厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」p.6・p.23・p.27(医療同意の権限と同意書へのサインについて)
【参考】法務省 法制審議会民法(成年後見等関係)部会 第23回 資料「意思決定が困難な人の医療の課題」(2025年7月22日)、PDFの17ページ目(「医療同意ができる」とうたう事業者の報告)
延命治療の判断に備えて、本人の意向を書面に残す
本人の意思が確認できないときの延命治療などは、医療・ケアチームが家族などと話し合って判断します。
家族が本人の意思を推定できるときは、その推定意思を尊重するのが基本です。
判断の助けになるよう、本人が話せるうちに、望む医療や大切にしたいことを書面に残しておきましょう。
なお、意向表明文書の作成は、本人の意思に基づくことが前提です。
2025年の研究班の資料は、契約の条件にするなど、作成を強要すべきではないとしています。
【参考】厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」p.23~24(本人の意思を確認できない場合の医療の決定プロセスについて)
【参考】法務省 法制審議会民法(成年後見等関係)部会 第23回 資料「意思決定が困難な人の医療の課題」(2025年7月22日)、PDFの22~23ページ目(意向表明文書の作成の強要と、ACPが契約の条件になっている事例について)
亡くなった後に成年後見人ができることと、残る役割の頼み先
成年後見人の役割は、本人が亡くなった時点で原則として終わります。
ただし、後見類型に限り、民法873条の2に基づいて、一定の死後事務を行える場合があります。
必要性があり、相続人の意思に反することが明らかでない場合に、相続人が相続財産を管理できるようになるまで行えます。
- 相続財産に属する特定の財産を守るための行為(雨漏りの修繕など)
- 相続財産に属する、支払期限が来た債務の支払い(入院費など)
- 火葬・埋葬に関する契約や、上記以外の相続財産の保存に必要な行為(家庭裁判所の許可が必要)
葬儀を取り仕切る権限はなく、保佐人・補助人・任意後見人にはこうした権限自体がありません。
家族がいなければ、死後事務委任契約や身元保証サービスで事前に備える方法があります。
【参考】法務省「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」
家族が身元保証人になる場合と成年後見人になる場合の責任の違い


成年後見人と身元保証人の違いは、家族がそれぞれの役割を引き受けた場合に負う責任の違いにも、はっきり表れます。
身元保証人(連帯保証人)は、本人に代わって費用を支払う義務を負う立場です。
成年後見人は、本人の財産を管理して家庭裁判所に報告する責任を負います。
家族が判断に迷いやすい3つの点を取り上げます。
- 連帯保証人の欄に署名すると負う責任と「極度額」の確認
- 家族が成年後見人になるには?選ばれる割合と担う役割
- 家族が成年後見人と身元保証人を兼ねるときの注意点
署名する前に、家計への影響も含めて確かめてください。
連帯保証人の欄に署名すると負う責任と「極度額」の確認
連帯保証人の欄に署名すると、本人が利用料などを払わないときに代わって支払う義務を負います。
「先に本人へ請求してほしい」と求めることはできません。
ただし2020年4月の民法改正で、継続的な費用を個人が保証する契約には、上限額(極度額)の定めが必要になりました。
極度額を書面で定めていない個人の根保証契約は無効です。
署名前に、次の3点を契約書で確かめましょう。
- 極度額(保証する上限額)
- 保証の範囲(利用料・未払いの医療費・退去時の費用など)
- 保証の期間と、途中でやめられるか
【参考】法務省「2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります」
家族が成年後見人になるには?選ばれる割合と担う役割
家族は申立書の候補者欄に名前を記載できますが、最終的に成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。
2025年に申立てが認められた後見・保佐・補助の開始事件では、親族候補者が申立書に記載されていた事件は約19.7%でした。
一方、選任された成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)と本人との関係別集計では、総数42,732件のうち親族が7,014件で、約16.4%です。
両者は集計単位が異なります。
親族以外では、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職が中心です。
選ばれた家族は、本人と自分の財産を分けて管理し、収支を家庭裁判所に報告します。
本人の財産を、家族の都合で自由に使うことはできません。
ただし、本人が扶養義務を負う家族の生活費など、相当な範囲で支出が認められる場合があります。
【参考】東京家庭裁判所後見センター「成年後見人・保佐人・補助人ハンドブック(Q&A付き)」
【参考】最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況―令和7年1月~12月―」冊子p.10(成年後見人等と本人との関係別集計、親族候補者の有無)
家族が成年後見人と身元保証人を兼ねるときの注意点
家族が成年後見人と連帯保証人を兼ねると、立場がぶつかることがあります。
保証人として立て替えた費用を本人の財産から返してもらう場面では、両者の利益が対立するためです。
兼ねてよいかは状況によるため、署名前に施設や家庭裁判所、司法書士・弁護士に相談してください。
【参考】厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」p.10・注14(第三者後見人の保証と、立替払い後の求償による利益相反について。家族による兼任を一律に禁止する記述ではありません)
成年後見制度の種類と申立ての流れ|2026年の制度見直しも確認


成年後見人と身元保証人の違いを踏まえ、成年後見制度を利用する場合は、本人の判断能力に合う類型を選んで申し立てます。
審理には一定の時間がかかるため、入院や施設入居の予定がある人は早めに準備を始めることが大切です。
制度の選び方から改正の動きまで、4つに分けて解説します。
- 法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見の違い
- 申立てから成年後見人が選ばれるまでの流れと期間の目安
- 申立てにかかる費用と、成年後見人に支払う報酬の目安
- 2026年6月公布の改正法で何が変わる?施行前の注意点
申立ての準備に入る前に、全体の流れを押さえておきましょう。
法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見の違い
成年後見制度は、「法定後見」と「任意後見」に分かれます。
| 種類 | 対象・始まり方 | 支援する人 |
|---|---|---|
| 後見 | 判断能力を欠く状態 | 成年後見人(財産管理と契約を広く代理) |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 | 保佐人(重要な契約に同意) |
| 補助 | 判断能力が不十分 | 補助人(認められた範囲で同意・代理) |
| 任意後見 | 元気なうちに公正証書で契約しておく | 任意後見人(契約で決めた範囲を代理) |
現行制度では、公正証書で任意後見契約を結んだ後、本人の判断能力が不十分になると、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。
その時点で、任意後見契約が発効します。
契約しただけ、または判断能力が低下しただけで、自動的に始まるわけではありません。
【参考】e-Gov法令検索「任意後見契約に関する法律」第2条~4条
認知症が進んで契約の理解が難しい場合は、法定後見を申し立てるのが一般的です。
どの類型かは、医師の診断書などをもとに家庭裁判所が判断します。
申立てから成年後見人が選ばれるまでの流れと期間の目安
申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所にします。
申し立てられるのは、本人や配偶者、4親等内の親族、市区町村長などです。
- 必要な書類を家庭裁判所や相談窓口で確認する
- 診断書や本人情報シート、財産の資料をそろえて申し立てる
- 家庭裁判所の面接・調査を受ける(必要なら医師の鑑定)
- 審判で成年後見人が選ばれる
令和7年は約71.1%が2か月以内、約93.8%が4か月以内に終わっています。
書類の準備にも時間がかかるため、入居予定日から逆算して動き出しましょう。
【参考】最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況―令和7年1月~12月―」
申立てにかかる費用と、成年後見人に支払う報酬の目安
申立ての費用は、収入印紙(申立手数料・登記手数料)と郵便切手が中心です。
鑑定が必要な場合は鑑定費用もかかりますが、令和7年の鑑定の実施は約3.4%で、費用は約85.8%が10万円以下でした。
成年後見人への報酬は法律で決まっておらず、家庭裁判所が事務の内容や財産額をもとに決め、本人の財産から支払います。
目安は各地の家庭裁判所が公表しているので、申立て先で確認してください。
身元保証サービスの料金と比べたい方は、次の関連記事をご覧ください。
【関連記事】身元保証サービスの料金相場は?費用内訳・入院・施設入居時の目安と失敗しない選び方
2026年6月公布の改正法で何が変わる?施行前の注意点
成年後見制度は、2026年6月に公布された「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)によって見直されます。
- 後見と保佐を廃止して補助に一本化し、必要な範囲で使える制度にする
- 制度を利用する必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、判断能力が回復していなくても、申立てまたは職権により制度の利用を終了できるようにする
- 任意後見監督人の選任を必須とする今の仕組みを見直す
施行日は政令で定められます。
入居や入院が迫っている場合は、現行の制度で手続きを進めることになります。
【参考】法務省「「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」
【参考】法務省「民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)」概要資料、p.2(制度利用の終了について)
成年後見制度と身元保証サービスはどちらを選ぶ?状況別の判断基準


成年後見人と身元保証人の違いを踏まえると、どちらが必要かは、次の2つの点から判断できます。
本人の判断能力と、身元保証人を引き受けられる家族がいるかどうかです。
判断能力が低下していて頼れる家族もいない場合は、両方を組み合わせて備える方法があります。
想定される4つの状況に分けて、選び方を示します。
- 本人に判断能力があり、家族が身元保証人を引き受けられる場合
- 本人の判断能力が低下し、施設入居や入院が迫っている場合
- 頼れる家族がいない場合は、成年後見制度と身元保証サービスを組み合わせる
- 元気なうちに備えるなら、任意後見と死後事務委任をあわせて検討する
ご自身の家族の状況に近いケースからお読みください。
本人に判断能力があり、家族が身元保証人を引き受けられる場合
本人が契約を理解して署名でき、家族が身元保証人になれるなら、当面は成年後見制度を使わずに済むことが多いでしょう。
家族は極度額と保証の範囲を確かめ、判断能力が落ちたときの財産管理の担い手も話し合っておきましょう。
本人の判断能力が低下し、施設入居や入院が迫っている場合
判断能力が低下し、入居の期限も迫っている場合は、次の3つを同時に進めます。
- 施設に、申立て中の入居契約と保証人の欄の扱いを確認する
- 家族が身元保証人になるか、身元保証サービスで補うかを決める
- 成年後見制度の相談窓口に連絡し、申立ての準備を始める
審理は2か月以内に終わる事件が多いものの、書類の準備を含めると入居日に間に合わないこともあります。
待つ間の扱いは施設によって違うため、まず入居相談の担当者に事情を伝えましょう。
組み合わせ:家族または身元保証サービスが身元保証人/選任後は成年後見人が契約と支払い
頼れる家族がいない場合は、成年後見制度と身元保証サービスを組み合わせる
頼れる家族がいなければ、成年後見人が契約と支払いを、身元保証サービスが保証や駆けつけ、死後の手続きを担う分担があります。
費用の負担が難しい場合は、地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談できます。
頼れる人がいないときの相談先について詳しく知りたい方は、次の関連記事をご覧ください。
【関連記事】身元保証人がいない高齢者はどうする?入院・施設入居から死後事務までの備え
元気なうちに備えるなら、任意後見と死後事務委任をあわせて検討する
判断能力が十分なうちは、次の契約を組み合わせて備えられます。
- 任意後見契約:判断能力が落ちた後の財産管理や契約を任せる
- 死後事務委任契約:葬儀や納骨、住まいの片付けを任せる
- 身元保証サービス:入院・入居時の保証や緊急時の対応を頼む
いずれも本人が結ぶ契約のため、元気なうちに準備することが前提です。
年代別の備え方について詳しく知りたい方は、次の関連記事をご覧ください。
【関連記事】40代・50代の身元保証サービス|今必要かの判断基準と後悔しない選び方
施設入居・入院の契約前に家族がすること|病院・施設に確認する質問


成年後見人と身元保証人の違いがわかったら、契約書に署名する前にすべきことがあります。
病院や施設が、誰にどの役割を求めているかを確認することです。
役割がわかれば、家族が引き受けること、成年後見人に任せること、サービスで補うことを整理して分担できます。
契約前の準備を、4つのステップに分けました。
- ステップ1:書類の欄ごとに求められている役割を確かめる
- ステップ2:病院・施設に5つの質問をして扱いを確認する
- ステップ3:家族・成年後見人・サービスの役割分担を決める
- ステップ4:成年後見制度の相談先に連絡し、申立ての準備を始める
できるところから一つずつ進めてみてください。
ステップ1:書類の欄ごとに求められている役割を確かめる
まず契約書類の中から、名前を書く欄をすべて書き出してみましょう。
- 契約者・代理人:本人か、選任後の成年後見人
- 身元引受人・連帯保証人:家族か、身元保証サービス
- 緊急連絡先:家族、身元保証サービス、引き受ける場合は成年後見人
欄の名前が同じでも求める範囲は施設ごとに違うため、迷う欄は次のステップで質問します。
ステップ2:病院・施設に5つの質問をして扱いを確認する
施設の入居相談の担当者や病院の相談窓口に、次の5つを質問しましょう。
- 保証人の欄を空欄で提出できますか
- 成年後見人が選ばれた後、保証人の欄はどう扱いますか
- 申立て中でも、入居や入院の手続きを進められますか
- 連帯保証の極度額と範囲はどこまでですか
- 緊急連絡先は、家族以外でも引き受けられますか
介護保険施設では、保証人がいないことは入所を拒む正当な理由にならないとする国の通知があります。
有料老人ホームなどは契約によるため、施設ごとの確認が欠かせません。
国の通知について詳しく知りたい方は、次の関連記事をご覧ください。
【関連記事】身元保証について厚生労働省は何を定めている?通知とガイドラインの要点を解説
【参考】厚生労働省「市町村や地域包括支援センターにおける高齢者等終身サポート事業に関する相談及び「身寄りのない高齢者」を介護施設等で受け入れる際の対応について」(2018年8月30日、2025年7月30日一部改正)
ステップ3:家族・成年後見人・サービスの役割分担を決める
役割ごとに、誰が担うかを表に書き込んで決めましょう。
| 役割 | 家族 | 成年後見人 | 身元保証サービス |
|---|---|---|---|
| 契約・支払い | 代理権なし | 担う | 契約・代理権に応じて手続支援や支払代行を担う場合がある |
| 連帯保証 | 担える | 担わない | 契約で担う |
| 緊急連絡・駆けつけ | 距離次第 | 要確認 | 契約で担う |
| 付き添い | 担える | サービスの手配が基本 | |
| (付随的に成年後見人が自ら対応する場合もある) | 契約で担う | ||
| 死後の対応 | 担う | 一部のみ | 契約で担う |
申立ての結果が出るまでの担い手も、施設と相談して決めておくと慌てずに済みます。
ステップ4:成年後見制度の相談先に連絡し、申立ての準備を始める
相談先は、次の4つを使い分けます。
- 地域包括支援センター:制度の説明や申立ての準備を相談できる
- 市区町村の相談窓口(中核機関):地域の支援につないでもらえる
- 家庭裁判所:申立ての書類や流れを案内している
- 司法書士・弁護士・社会福祉士:申立書の作成支援を頼める
申立て先は親の住所地の家庭裁判所なので、親の地元の窓口に相談するとスムーズです。
微笑堂の身元保証サービスで担えること・担えないこと(PR)


成年後見人と身元保証人の役割の違いのうち、身元保証人の側を民間サービスで補いたい方もいるでしょう。
ここでは、運営者である株式会社微笑堂の対応範囲を紹介します。
担えないことや対応エリアもあわせて記載するので、ほかの選択肢を検討する材料にしてください。
相談前に知っておきたい3つの点をまとめました。
- 微笑堂が担える役割と、成年後見人や家族との分担
- 微笑堂のサービス対象と対応できる範囲
- 無料相談で確認できることと、相談から契約までの流れ
ほかの事業者と比べる場合も、同じ物差しで確かめてみてください。
微笑堂が担える役割と、成年後見人や家族との分担
株式会社微笑堂では、成年後見人の業務に含まれない役割を中心にお引き受けしています。
- 入院時の身元引受人、施設入居時の連帯保証人
- 夜間を含む緊急時の駆けつけ、通院や入退院の付き添い
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「フルサポートプラン」には、死後事務・葬儀代(火葬式)・遺品整理費などが含まれます。
追加費用が生じる条件も、契約前にご確認ください。
医療行為(手術など)への同意は、本人の意思によるのが原則です。
身元保証人に、本人に代わって医療行為に同意する権限はありません。
微笑堂では、医師・看護師との協議や手術時の立ち会いなど、法令に反しない範囲での支援を行います。
任意後見(将来の生活・財産管理のサポート)も、微笑堂の業務の1つです。
遺言書・任意後見・死後事務まで、同じ窓口でご相談いただけます。
公正証書遺言の作成時や任意後見契約の締結時には、司法書士などの専門家と連携し、付き添いなどの支援を行います。
【微笑堂ページ】「サービス」「会社情報」「身元保証サービスの料金相場」
微笑堂のサービス対象と対応できる範囲
入院や入居を控え、保証や駆けつけを家族の代わりに頼みたい方が対象です。
- 基本対応エリア:東京の城南エリア(大田区・品川区・世田谷区・目黒区など)
- その他の対応エリア:東京都内および近郊地域を中心に対応しており、それ以外の地域は個別のご相談となります。
成年後見制度を利用中または検討中の方も、ご相談いただけます。
成年後見人が財産管理、微笑堂が身元保証や緊急時の対応を担うなど、役割を分担して組み合わせることができます。
成年後見制度の申請支援も行っています。
【関連記事】身元保証会社『微笑堂』高齢者向けの安心サポート | 生活支援・身元保証サービス
【関連記事】身元保証人がいない高齢者はどうする?入院・施設入居から死後事務までの備え
無料相談で確認できることと、相談から契約までの流れ
無料相談では、看護師・福祉士の経験を持つ相談員が状況を伺い、どの役割を担えるかを一緒に整理します。相続診断士も在籍しています。
電話(0120-975-503)、メールフォーム、LINEで相談を受け付けています。
ご相談から契約・サポート開始までは、次の順に進みます。
- お問い合わせ
- 無料相談で状況を伺い、プランをご提案
- プランの選択とご契約(対面で内容をご説明)
- 契約内容に応じたサポートを開始
自動更新のプランでは、状況に応じて契約を継続します。
契約時には、身分証明書、健康保険証のコピー、必要に応じて医師の診断書などをご用意いただきます。
必要書類の詳細は、契約前にご案内します。
ご家族による代理契約をご希望の場合は、代理権の確認や委任状などの必要書類について、事前にご相談ください。
料金は「身元保証サービスの料金プラン」で公開中です。
成年後見人と身元保証人の違いに関するよくある質問


成年後見人と身元保証人の違いについて、本文で扱いきれなかった疑問に一問一答で答えます。
保佐人・補助人の場合や預貯金の扱いなど、手続きの途中で迷いやすい点を選びました。
ここで回答する質問は、次の5つにしぼりました。
- 保佐人や補助人の場合も、できることは成年後見人と同じですか?
- 身元保証会社に成年後見人(任意後見人)を頼めますか?
- 身元保証人がいないと、入院や施設入所を断られますか?
- 認知症の親の預貯金は、成年後見人がいないと引き出せませんか?
- 判断能力が低下してからでも、身元保証サービスを契約できますか?
本文の該当箇所とあわせてご確認ください。
保佐人や補助人の場合も、できることは成年後見人と同じですか?
同じではありません。
保佐人は、保佐開始により、法律で定める重要な行為について同意権・取消権を持ちます。
特定の法律行為について代理権を持つには、別に家庭裁判所の審判が必要です。
補助人の権限は、家庭裁判所の個別の審判で定められます。
【参考】裁判所「保佐開始」
保佐人・補助人には、民法873条の2による特別な死後事務権限はありません。
ただし、死亡届の提出など、別の法律に基づいてできる手続きはあります。
【参考】法務省「死亡届」(戸籍法86条・87条に基づく手続き)
身元保証会社に成年後見人(任意後見人)を頼めますか?
任意後見なら、本人に判断能力があるうちの契約で頼める場合があります。
法定後見の成年後見人は家庭裁判所が選ぶため、事業者を指定できるとは限りません。
【参考】内閣官房・厚生労働省ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」第3の5(2)、冊子p.33~34(PDFの34~35ページ目。事業者が任意後見人になる場合の留意事項)
身元保証人がいないと、入院や施設入所を断られますか?
入院が必要な人を保証人がいないことだけを理由に断ると、医師法に抵触するとする国の通知があります。
介護保険施設にも同様の通知がありますが、有料老人ホームなどは契約によります。
【参考】厚生労働省「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」(2018年4月27日)
認知症の親の預貯金は、成年後見人がいないと引き出せませんか?
原則として、本人の意思を確認できなければ家族でも引き出せません。
全国銀行協会は、医療費など本人の利益が明らかな場合に限る対応を示しつつ、成年後見制度の利用を基本としています。
【参考】全国銀行協会「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方について」(2021年2月18日)
判断能力が低下してからでも、身元保証サービスを契約できますか?
本人だけで新たに契約するのは難しい場合があります。
成年後見人による契約や、家族が契約者になれるかを事業者に確認してください。
【まとめ】成年後見人と身元保証人の違いを理解し、役割を分けて備えよう


成年後見人と身元保証人の最大の違いは、費用を保証する責任を負うかどうかです。
違いを知っておくと、家族が引き受ける役割と、制度やサービスに任せる役割を分けて決められます。
入院や施設入居が迫っているなら、まず病院・施設が誰にどの役割を求めているかを確認しましょう。
- 成年後見人は本人の財産で手続きをする代理人で、保証人として費用を負担しない
- 成年後見人がいても、緊急連絡先や付き添い、医療の意思決定への備えは別に必要
- 家族が連帯保証人になるなら、極度額と保証の範囲を確かめてから署名する
情報を集めている段階なら、まずは地域包括支援センターに相談。
施設との話が具体的になってきたら、申立ての準備と保証の担い手探しを同時に進めましょう。
迷ったときは、書類をそろえて相談先に問い合わせてみてください。
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